特集 改正貸金業法で何が変わる?

記事投稿日:2008年9月7日

2006年12月、多重債務問題を解決するために、貸金業界を適正化することを意図して、「改正貸金業法」は成立しました。その内容は

  • ①貸金業への参入条件の厳格化
  •  
  • ②総量規制の導入
  • ③上限金利の引き下げ

等が含まれ、2年半以内に4段階に分けて、順次施行されます。

今回の特集では特に、借り手側に影響を及ぼす内容について取り上げていきます。

改正貸金業法の意図

貸金業者の悪質な取り立てや多重債務のニュース等を耳にし、貸金業界についてダークなイメージを持たれている方もいらっしゃるかと思います。今回の改正貸金業は、深刻な多重債務の問題を解決すると共に、「借り手が安心して利用できる貸金市場」にすることが意図されています。

ポイント①:貸金業への参入条件の厳格化

1.法改正前は純資産額が法人は500万円以上、個人は300万円以上が貸金業の登録に必要な財産的基礎要件でしたが、法改正後は段階的に引き上げられ、第4段階(施工から2年半以内)では純資産額5,000万円以上がないと、貸金業登録ができなくなります。

2.新たに資格試験を導入し、合格者を「貸金業務取扱主任者」として登録することになりました。貸金業者は営業所等ごとに、貸金業に従事する者の数の50分の1以上の数の「貸金業務取扱主任者」を置かなければならなくなりました。

上記と共に、改正貸金業法では違反した際の罰則も強化され、いわゆるヤミ金融業者が貸金業に入り込む余地はなくなると考えられています。

ポイント②:総量規制の導入

今回の改正貸金業法により、貸金業者からの総借入残高が借主の年収等(年間給与、年間の年金、個人的な年間の定期的不動産収入等の合計)の3分の1以上を超える貸付は禁止されます。有価証券や不動産等を担保とする場合は例外となることもありますが、無担保のカードローンの場合、基本的にこの規制対象に当てはまると考えた方が良いでしょう。

また、貸金業者は指定信用情報機関が保有する信用情報の利用が義務づけられ、顧客の返済能力調査が必要になったり、第4段階では1社(自社)50万円または他の貸金業者からの借入を含めた総借入額が100万円を超える場合、収入証明(源泉徴収票、給与明細書、納税証明書など)の徴求が義務づけられるなど、返済能力を超える貸付は行えない状況になっています。

当サイトでは、2007年2月のニュースで「消費者金融4社、お断り2人に1人」の記事を掲載しましたが、現在では「3人に2人が審査落ち」しているとも言われています。審査基準は、次に説明します上限金利の引き下げと総量規制の導入により、貸金業者が返済能力の高い顧客にターゲットを絞っているために厳格化したと言えます。

ポイント③:上限金利の引き下げ

これまでの貸金業規制法においては、「利息制限法」で定められている上限金利20%以内を超える金利であっても、「みなし弁済制度」により民事上有効になる可能性がありました。そのため、一部の貸金業者では、「出資法」(年29.20%の上限金利を超えると、法律的に罰せられる)の上限金利を適用して、グレーゾーン金利での貸付を行っていました。

しかし、今回の改正貸金業法は、第4段階に「みなし弁済制度」の撤廃と「出資法」の上限利率を年20%(元本10万円未満)ないしは近づける(元本10万円以上)内容が盛り込まれています。グレーゾーン金利が完全に無くなるわけではありませんが、グレーゾーン金利での貸付が行政処分の対象になるため、実質は「利息制限法」の定める上限金利20%以内での貸付が一般化されます。

現在は、多くの消費者業者が第4段階を待たずして、上限金利を20%以内に引き下げています。これにより、銀行・信販系⇒金利は低いが比較的審査基準が高いため、安定収入のある層の利用者が多い、消費者金融⇒金利は高いが、審査時間はかからず、比較的審査基準が低い(グレーゾーン金利での貸付は、ある程度の貸し倒れリスクを考慮していたと考えられます)というこれまでの市場構造が崩れ、銀行・信販系・消費者金融がほぼ横並びの金利で貸付を行っています。当然競争も激化しているため、各カードローン業者が生き残っていくためには、優良顧客(返済能力が高く、利用頻度・利用額が多い)をいかに囲い込めるかが鍵になります。

カードローンの審査基準が厳格化していく中、利用者の私たちは貸金業界で起こっていることを知り、融資を受けたい場合はどうあるべきかを考える必要がありそうです。